バカの壁

今更読む。

日本人の多くは、ロジカルループをずっと突き詰めていくという作業を放棄し、与えられた情報を鵜呑みにし、それをあたかも変えられない/変わらない真理や事実として受け止める傾向にあるという。それをやめ、様々な物事を自分で考えていくことにこそ、バランス感覚のとれた健全な考え方という発想のもと、養老さんによるいくつかの事例を出しているというのがこの本。

この発想は好きだ。昔どこかの誰かが、世の中にある"絶対"は"人は必ず死ぬ"だけだと言っていたが、それと同じような発想。


養老さんの考えは面白い。合点がいかないものもあるけど、そういう手もあるのかという感をいだく。

前半の飛ばしから、途中脳の話で中だるみはあるが、後半原理主義、一元論の危うさとそれによる考えの不完全さを力説。これも面白いね。


後、イデアという概念はおもしろい。人もリンゴもすべてそれを指し示す完全体は現実には存在しない。しかしそれを扱うために現れた概念。なんかクラスみたい。

バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)