不毛地帯 & 沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか

書評が滞っていたので印象が強かったものをいくつか。まずは不毛地帯

山崎豊子の大作物全5巻。最初は世界観に入り込めず、進みが遅かったが、2巻の途中くらいから急速にどっぷりはまった。

沈まぬ太陽の時とは違い、本の頭にもフィクションであることが明記されているが、それでも話の題材として用いた人が瀬島龍三であることはまあ事実だろう。豊子節なのかわからないが主人公が過度な聖人である点は同じだけど、ストーリーはもう少し小説的。やはり小説としてはすごく面白いし、豊子的強引な落とし込みを前提にしてもシベリア強制労働や戦後の商社戦争など、日本の歴史に興味をいだくのにいい素材だなと思う。

読後に読んだ主人公のモデルである瀬島龍三についての本がいい対比になってよかった。
特にODAとして海外諸国にお金をばらまいていると思っていたものが、実はそれを政治家によって日本商社が受注して還流させるというお金の流れは、そもそもODAのメリットが今ひとつわかってなかったのでなるほどなと思わせられた。世界規模の商いは動くお金が莫大なため、それを動かせるにたる力である政治やそれにつながるパイプが必要ということだ。

まずは自分の分野にしぼって政治、政策、法律の現在と近未来について、押さえておこうと思う。


不毛地帯(一) (新潮文庫)

不毛地帯(一) (新潮文庫)



沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫

沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫