自壊する帝国

いつぞやに買ってたがタイミングを損ねて読んでいなかった物が掃除のおかげで出てきたので読んでおいた。

ソ連担当の外務省外交官であり、鈴木宗男事件で逮捕されてしまうが出所後、裁判で争いつつも著書をばんばん売りまくっている佐藤優さんの入省からソ連崩壊までを、彼が接触した政治家、活動家達とのやり取りをベースに描かれている。

インテリジェンスという言葉を知ったのは彼と手嶋さんの対談の新書。その具体的事例がこの本に書かれている。
がっつり自慢入りの彼の人脈の広さ、そしてそれを構築する上で行っている活動がかいま見れる。キリスト教という彼のライフワークでありアイデンティティがその構築において大きな役割を占めているのがわかる。日本人でここまで宗教をしっかりと押し出して職業活動を行う人は非常に珍しく、それが彼を外交官として固有の存在にした大きな要素なんだろう

それにしてもあくまで機密事項でないことのみなんだろうが、これを読んだ限り、情報収集を行う過程で発生するその交際費の大きさがまず目につくがその見返りとして得られた成果がいまいちしっくりこない。専門分野でないのでその情報がどれくらいの価値があるかを理解できていないのであればいいのだけど。結局それで何を日本は勝ち取れたんだろう。

それ以外にもソ連という国、KGBという組織の怖さがたっぷりと書かれている。いや日本に生まれてよかった。

自壊する帝国 (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)