沈まぬ太陽

何気なく本屋で散策していたら、2010業界地図と柳井氏の本を手に取っていることに気づき、さすがにやばいと思って選んだのが豊子。時代が中途半端に古いのと5冊級の長さにいつも二の足を踏んでいたけど、まあいいかとお試しがてら1巻のみ購入。

いやぁ面白いじゃない。
戦後20年程度の世界で日本でJAL(的)な企業で望まない中、労働組合委員長にされてしまった主人公の物悲しい左遷話。階級による差が大きい中で末端労働者の権利を勝ち取るために努力した主人公がやりすぎて共産党員と勘違いされ、第3世界に左遷され、耐えている話。現在と過去が入り交じり、徐々に現在の切ない境遇の背景が浮き彫りになっていく。
厳しい労働環境の中、辞めずに非道な境遇に耐える主人公に時代の悲しさを感じる。今の時代では普通に辞めちゃうだろう。自分を信じる他の組合員の信頼を裏切れないという主人公の言い分はわからなくはないが、それで自分の人生を犠牲にすることはできないしする必要はない。その考え方の違いはフィクションだからという話なのかもしれないし、自分との価値観の違いもあるだろうが、この時代に生きるサラリーマンの苦労は大変だなと想像した。
まだ全然最初だけどどうなるか楽しみだ。

ちなみにこれを映画化するってやっぱり大変だろうな。5冊の大作だし。映画見てないけど本には勝てないだろう。きっと。


沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)